地元で就職を考えると、地方銀行などの金融機関が有力な選択肢の一つです。
そのため、仕事内容や自分が銀行員に向いているかどうかをよく考えないまま入行してしまい、「銀行員に向いていないのでは」と退職を考えて悩んでいる方の参考になればと思います。
記事の執筆者
地方銀行で5年の勤務経験があり、融資業務や渉外業務を担当しました。
マニュアルのとおりに事務作業ができない
銀行の手続きにはすべてマニュアルがあります。
特に、法令で定められている事項に違反した場合、知らなかったでは済まされません。
事務作業は多数かつ多岐にわたり、マニュアルや法令に違反しないようにミスなく迅速に事務処理を続ける必要があります。
上長の決裁を得なければ先に進められない事務処理が多数あるため、常に段取りを考え、効率よく仕事に取り組まなければなりません。
細部に注意をはらえない
銀行の仕事では、細部まで注意をはらわないと、すぐミスにつながります。
「書類の記入間違い」、「押印が不鮮明」、「書類が足りない」などにすぐ気づけない場合、顧客に再度来店してもらったり、顧客宅へ訪問したりすることが必要となり、大変な迷惑をかけることになります。
また、銀行では「検査部」による抜き打ち検査があり、ささいな不備でも厳しく指摘されるため、日々の業務を常に正確に行う必要があります。
ノルマに耐えられない
銀行には達成がとても厳しい営業目標(ノルマ)があります。
たいていの場合、毎年4月~翌年3月の1年間において4半期ごとの営業目標が本部により決められ、各支店に目標予算が割りふられます。この目標予算が前期と比べて低い目標になることは基本的にはありません。
銀行の支店には、「預金残高」や「融資残高」に応じたランクがあり、ランク毎に「優績店表彰」があります。
「優績店表彰」の基準となる営業目標は多岐にわたるため、ノルマに耐えられない人は銀行員に向いていません。
顧客対応にストレスを感じる
顧客対応は何かしらのかたちで発生する業種がほとんどですが、銀行の場合は「お金」にかかわる事項が多いため、ちょっとしたミスでも深刻な苦情につながる可能性があります。
銀行の主な業務は「預金業務」、「渉外業務」、「融資業務」です。
「預金業務」
口座開設、口座への入金・出金、振込、投資信託や生命保険の取り扱いが主な業務。
下記の繁忙日には来店客が多く、来店客以外の事務処理も集中するため、待ち時間が長くなり、窓口で怒り出す人もいます。
・月初
・月の5日、10日、15日、20日、25日など
・年金支給日 偶数月の15日
・月末
「渉外業務」
法人や個人の顧客を訪問し、相談や提案を行う業務。
主に投資信託、保険などを提案・販売したり、融資やローンのニーズを聞き取ったりします。
投資信託や保険の販売手数料は、銀行の重要な収益源の1つであるため、様々な種類の金融商品の知識が必要です。
また、金融商品を販売する際には重要事項、注意事項の説明責任があります。
「融資業務」
銀行が預かっている資金(預金)を法人、個人事業主、個人に融資する業務。
融資業務は、銀行の収益の大部分を占める最も重要な収益源です。
融資を受ける側(法人、個人事業主、個人)にとっては、会社経営、事業経営、個人の生活などを支える資金獲得の手段です。
職場で人間関係を保てない
どのような職場においても人間関係についての問題は存在しますが、銀行においては人間関係を保つことが難しい場合があります。
預金・渉外・融資の各部門間での人間関係
預金・渉外・融資の部門ごとに多忙な状況が多いことに加え、仕事をすすめる過程で紙ベース(書類)やシステム上を問わず各部門の役席者の決裁が必要なため、普段から良好な人間関係を保っておかなければ仕事がすすみません。
預金・渉外・融資の各部門内での人間関係
各部門内でも担当者間の関係が悪いと、わからないことを質問しづらかったり、情報の共有ができなかったりします。
役職の違いによる人間関係
銀行では、職位や役職の違いによる上下関係が厳しい場合が多いため、良好な人間関係を保てないことがあります。
年下の人が自分より職位が上であったり、直属の上司だったりすると、仕事をやりにくい場合があります。
転勤・異動に対応できない
銀行では、一般的に2・3年ごとに人事異動による配置転換があります。
通勤に時間がかかる支店であったり、残業が多い部署に配置となったりした場合に対応できないと退職するしかないこともあります。
昇進・昇格に意欲がない
銀行では、各職位ごとに昇格できるまでの勤続期間が決まっていることがあります。
昇格するためには、勤続期間の他に仕事の実績も重要です。
仕事の実績を残し続けるためには、自分自身に高い目標を課して日々仕事に取り組まなければなりません。
勤続期間ごとに確実に昇格していく人もいれば、同じ職位のままの人もいます。そのため、後輩が自分より先に出世していき、後々には直属の上司になる可能性もあります。
昇進・昇格に意欲がないと、厳しい営業目標を達成させるためのモチベーションを維持することが難しいでしょう。
勉強が苦手
銀行員は、昇進・昇格することによって収入が上がります。
昇進・昇格するためには、財務・税務・法務などの通信教育や試験合格、銀行検定試験合格、ファイナンシャルプランナー資格などが必要であるため、勉強を続けていかなければなりません。
また、仕事においての実績も重要です。
銀行では勉強、仕事の両面において優秀な結果を出し続ける人が最も高い人事評価を受け、勉強や仕事で結果を出せない人は、厳しい人事評価を受け続けることになります。
まとめ
この記事をまとめます。
◎銀行員に向いていない人の特徴
〇マニュアルのとおりに事務作業ができない人
〇細部に注意をはらえない人
〇ノルマに耐えられない人
〇顧客対応にストレスを感じる人
〇職場で人間関係を保てない人
〇転勤・異動に対応できない人
〇昇進・昇格に意欲がない人
〇勉強が苦手な人
銀行(地方銀行)に向いていないため、退職をするかどうか悩んでいる方もいらっしゃると思います。
銀行に勤めていると、「社会的な信用が高い」、「福利厚生が充実している」などの良い面もあるため、退職については慎重に判断してください。